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【ジョーカー(JOKER)】取り憑かれたように魅入ってしまう2019年最高の映画【感想・評価】

 

皆さん、こんばんは。

今回はトッド・フィリップス監督最新作『ジョーカー』についての感想を書きたいと思います。ネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください。

 

「本当の悪は笑顔の中にある」

 

鑑賞後、あなたはアーサーに何を思うのか――
孤独な男に起きた衝撃の真実に、

きっと“言葉を失ってしまう”

 

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ジョーカーとは

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ジョーカー(JOKER)とは、DCコミックバットマンシリーズ』に登場する悪役(ヴィラン) であり、バットマンの最大・最凶・最悪の宿敵として名高いキャラクターです。

 

“Clown Prince of Crime”(犯罪界の道化王子)、“the Jester of Genocide”(虐殺する宮廷道化師)、“the Harlequin of Hate”(憎悪するハーレクイン)、“ace of spades”(スペードのエース)など様々な二つ名を持ちます。

 

英国の映画雑誌エンパイアで、2018年に「映画史上最も印象に残る悪役ランキング」でダース・ベイダーに次いで第2位に選ばれた、悪のカリスマとして非常に人気のあるヴィランと言えます。

 

真っ白な皮膚、緑の髪の毛、裂けて常に笑みを湛えた口が特徴です。服装はロングテール、パッド入りショルダージャケット、ネクタイ、紫のスーツ、手袋、時々つばの広い帽子、尖ったつま先の靴、ストライプのパンツやスパッツ、といった姿がポピュラーです。

 

ジョーカーは予測不能な動きを見せる一方で、知的かつ冷徹な犯罪計画者でもあります。彼は苦痛や死を利用して人生の無意味さを人々に見せつけたいというサディスティックな願望や、自分の思い描く世界を実現したいというナルシシズムに突き動かされ、狂気に満ちた犯行に手を染めます。情緒は不安定で、ときには無害なトリックスターだが、またあるときには残忍な殺人鬼に変貌します。

 

ジョーカーの性格や外観はバットマンのアンチテーゼであり、バットマンが「黒一色の衣装」「黒いマスクと口を真一文字に結んだ仏頂面」「厳格なまでの正義と秩序への執着」に対し、ジョーカーは「派手で洒落た服装」「真っ白な顔面と極端に引きつった笑顔」「秩序の破壊と正義や道徳への懐疑・嘲笑」両者の在り様は対極にあると言えるでしょう。

 

 

 

あらすじ

 

「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに密かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか?
切なくも衝撃の真実が明かされる!

映画『ジョーカー』オフィシャルサイト

 

今作はジョーカーのオリジンストーリーを描いた作品であり、様々なジョーカーのオリジンに新たな一つの解釈を創り上げた作品と言ってもいいでしょう。

 

主人公「アーサー」は貧困と不満で破裂寸前の"ゴッサムシティ"でピエロの派遣会社で働いており、老いて介護が必要な母親と二人分の生計を立てながら、日々苦しい生活を余儀なくされていました。

 

身体的・精神的な理由から、薬がなければ「笑ってしまう」疾患を持ち、それが理由で同僚や上司から疎まれていました。そんな彼が、いかにして狂気のヴィランへ変貌したのかをじっくりと描いていきます。

 

www.youtube.com

 

監督・キャスト

 

監督「トッド・フィリップス」

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今作の監督を務めたトッド・フィリップスは『ハングオーバー!』シリーズなど多くのコメディ作品で成功を収めた監督であり、センスのあるトリッキーなエンターテイメント性がウリです。

 

ジョーカーの「笑い」と「狂気」を巧みに演出し、本作で、第76回ヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる「金獅子賞」を獲得しました。

 

 

 

主演男優「ホアキン・フェニックス」

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アカデミー主演男優賞ノミネート、ゴールデングローブ主演男優賞、カンヌ国際映画祭男優賞など数々の賞を受賞した、超実力派俳優です。

 

今回、ホアキン・フェニックスはジョーカーの役作りのために24kgと大幅な減量を行いました。頬がこけ、あばら骨が浮き出るほど。作中の貧困と苦境に立つ「アーサー = ジョーカー」を己の存在を賭した鬼気迫る怪演で見事演じ切りました。

 

今回の作品で三度目のアカデミー主演男優賞ノミネート、そして悲願の初受賞は確定ではないかと私は感じました。

 

 

 

感想・評価

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世界観

評価:★★★★★

 

"ゴッサムシティ"では経済的格差が拡大し、貧困層の若者の非行や労働者のストライキにより治安が悪化。また、福祉施設(セーフティネット)もなくなってしまうという有様。

 

その一方で、ウェイン産業に勤めるようなエリートサラリーマンや富裕層などは選民意識から貧困層に横柄な態度や差別的な見方をしており、市民との対立を深めるばかりでした。

 

アーサーが起こした事件を見て、政治家のウェインは「貧困な人々は社会の負け組。ピエロの仮面をかぶらないと犯罪もおかせない臆病者」と語ります。また、市民がピエロに扮して町中で社会運動を起こす中、富裕層は映画館でチャップリンの『モダンタイムス』を見て笑い、外の貧困層のことなどまるで関心がないといった演出は、かなり皮肉が効いていました。

 

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「チャップリン」と言えば"山高帽"に"ちょび髭"や"ダボついたズボン"が印象的ですが、それは当時の浮浪者をモチーフにしています。

 

そして『モダンタイムス』は労働問題を描いた映画であり、機械によって仕事を奪われていく労働者の悲哀を笑いを交えて描いています。どんなに本人は至って真面目に頑張っても、最後はミスを起こしてしまいそれが原因でクビになります。

 

つまり、その姿に笑う観客はアーサーを笑い、暴動を起こす市民を笑っているようなものなのです。

 

経済格差から生まれた市民や貧困層の不満はパンパンに膨れ上がり、やがて爆発し、暴動を呼びます。

 

社会の混迷の中、その渦中にいたアーサーがジョーカーへ変貌・覚醒してく姿を描く土壌が"ゴッサムシティ"という世界観なのです。

 

本作はそれが非常に丁寧に映し出されていました。

 

ジョーカーの誕生過程

評価:★★★★★

 

ジョーカー簡単あらすじ


本作では、心優しい男だったアーサー・フレックが全てを失い、あらゆることに対する執着を捨て、その結果“悪のカリスマ”ジョーカーへと変貌する経緯を描いています。

 

精神を病み向精神薬の服用とカウンセリングを受けていたアーサーは、ゴッサム市の予算削減により福祉施設が閉鎖。医療補助を受けられなくなります。

 

コメディアンを夢見て、生活のために派遣ピエロとして働いていましたが脳や神経の損傷で突然笑い出す疾患を抱え、上司や同僚とうまく人間関係を築くこともできず、親しい友人すら持っていませんでした。

 

アーサーは同じアパートメントに住むシングルマザーであるソフィアと恋仲になり、心の拠り所を手に入れます。アーサーがコメディクラブに出演した際、ネタはさっぱりウケませんでしたが、ソフィアとは楽しい時間を過ごします。彼女はアーサーの母が倒れたときも病院で付き添ってくれました。しかし、その病室でアーサーは憧れのコメディアンであるマーリーがコメディクラブでの自分のスベリっぷりをテレビでバカにしているのを見てしまいます。

 

さらにアーサーは母が何度も手紙を書いていた相手が市長選に出馬したトーマス・ウェインであることを知ります。彼女を問い詰めると、母はアーサーの父親はトーマスだと言います。手紙の内容は、苦しい生活をしている自分と息子のために援助を求めるものでした。しかし、ウェイン家の執事であるアルフレッドや、トーマス・ウェイン本人から「お前の母親はイカれている」と追い返されました。

 

アーサーはその後、ゴッサム精神病院で自分が養子であったことを知ります。そして、母は自分の恋人がアーサーを虐待するのを見て見ぬフリをしていました。アーサーの脳の損傷は、そのときの後遺症だったのです。たったひとりの家族と思っていた母を信用できなくなった彼は、病院のベッドで彼女を殺害します。

 

ソフィアに慰めを求めて会いに行くと、彼女は他人のように余所余所しく怯えた様子でした。実は彼女と過ごした時間は、すべてアーサーの妄想だったのです。

 

精神を病み、経済的にも苦しい立場に置かれたアーサーは物語が進むにつれどんどん追い詰められ、大切なものを失っていきます。

 

そして、ジョーカーとなりコメディ番組にて自身の罪と考えを告白しマーリーを殺害します。こうしてジョーカーは“悪のカリスマ”として世界に認知されました。

 

「アーサー」が「ジョーカー」へ変貌するさまを衣装で表現

 

先述した通り、ジョーカーの服装はロングテール、パッド入りショルダージャケット、ネクタイ、紫のスーツ、手袋、時々つばの広い帽子、尖ったつま先の靴、ストライプのパンツやスパッツです。

 

「アーサー」のファッションはアメリカンカジュアルでした。

 

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しかし、電車で3人の若者から暴行を受け、それを射殺し逃走したのちに公衆トイレに入りダンスを踊っていた際の格好はネクタイとベスト。そして、ピエロの仕事の後だったとはいえピエロメイク。

 

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つまり、あの事件を契機に「アーサー」が「ジョーカー」へ変貌していく最初の一歩であったことを表現しています。

 

そして、物語の終盤マーリーのコメディ番組に出演する時には、髪を緑に染めて紫色のジャケットを羽織り、「ジョーカー」としての衣装に完全に変わりました。

 

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心優しい男「アーサー」が完全に消え、凶気のヴィラン「ジョーカー」へ変貌したことを示しているのです。

 

 

 

ホアキン・フェニックスの"ジョーカー"

評価:★★★★★

 

今作はジョーカーの誕生"オリジン"を描いているのですが、その出来が非常に良い一方で悪い点もあります。それは、ジョーカーのオリジンを描くことによって正体不明の予測不可能な悪のカリスマとしての神秘性が失われることです。

 

その出自も本名も不明。幾度かコミック誌上で語られたことはあるのだが、ジョーカー自身の記憶が既に錯綜して真実は不明というのが公式設定です。ただし、ある犯罪者がバットマンとの戦いの末に化学薬品を顔に被ったせいで、狂気とそれに満ちた笑顔を携えたジョーカーに生まれ変わった、というあらすじは殆ど共通しています。

 

また、実写映画などではジョーカーが自らの出自を語るシーンなどがありますが、狂気的な振る舞い、何が本当で何が嘘か分からないジョーカーの言葉から、彼の語る出自を信じることは誰もできません。

 

つまり、出自も本名も不明で何を考えているか何をするか予測不能のヴィランが「ジョーカー」という記号であり、今作でジョーカーの本名・出自が描かれることはジョーカーの神秘性が失われてしまうのです。

 

その神秘性を守りつつ創り上げた『ダークナイト』でジョーカーを演じた俳優「ヒース・レジャー」の鬼気迫る壮絶な演技や数々の素晴らしいアドリブは最高であり、私の中で最高の"ジョーカー"はヒース・レジャーです。

 

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Batman - The Dark Knight | The Joker Compilation (All Scenes)

 

しかし、今回の作品の方向性としてのホアキン・フェニックスのジョーカーは完璧であり、役作りから怪演まで非常に素晴らしかったです。ヒース・レジャーのジョーカーとは違う方向性で最高と言えるジョーカーだったと思いました。

 

この世界観・ストーリーありきでジョーカーの新しい解釈や一面として見れば非常に面白い、ホアキン・フェニックスとトッド・フィリップスのジョーカーでした。

 

 

 

総評

 

ホアキン・フェニックスの見事な怪演とトッド・フィリップスの見事な構成が合わさって2019年最高の映画として仕上がったと言っても過言ではないと感じました。

 

この作品はアメコミ映画・バットマンシリーズという枠組を超越し、一つの映画として見れる作品となっています。アメコミ・バットマンを知らない、もしくは興味がないといった層にも見てもらいたい作品ですね。

 

また、現実にも存在する経済格差や社会批判も含んでおり、今を生きる私たちの誰もがジョーカーのような狂気を生むに足る、社会への不満や抑圧を抱えていることが感じられました。

 

アカデミー賞の受賞間違いなし、主演男優賞獲得間違いなしの傑作でした。

 

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